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東京カレンダーの「シンガポール大逆転」シリーズの内容は実話?現地在住者の視点から考えてみた。

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シンガポールに住んでいる自分は平凡な仕事、平凡な収入で、平凡な生活を送っている。しかし金持ちかどうか、華やかかどうか、という基準で比較した場合、自分はシンガポールで最底辺な暮らしをしているのかもしれない。

以前このブログが炎上してしまった際に「本当にこいつシンガポールにいるの?」「シンガポールにいるの嘘でしょ?」といった内容のコメントがついた事があった。何でそこを疑う人がいるのか本気で疑問だった。だけど、最近あるウェブサイトのある記事を見て理解できた。

日本では「シンガポールはバブリーな夢の国である」と誇張され過ぎている(と思う)。

確かにシンガポールには富豪が多い。しかし中国や他のアジア諸国からやってきて、シンガポールで成功をおさめた者はさらなる高みを求めてアメリカやオーストラリアに行く。シンガポールはあくまで踏み台として使われることが多い。なんだかんだで世界の大半の富はアメリカに集中している。

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この中にシンガポールはない。シンガポールはこの周辺のアジアではずば抜けたスペシャルな国だけど、世界基準で見るとそうでもない。大金持ちもいるから目立つだけで格差は大きい。結局「シンガポールすげえ」と誇張され過ぎだと思う。

東京カレンダーの「シンガポール大逆転」シリーズ

そのシンガポールのバブル誇張に一役買ってるウェブサイトが、最近ちまたで話題の東京カレンダーの「シンガポール大逆転」シリーズだ。

年収2千万円の夫と結婚して不満。30代で年収1億円の台湾の大富豪と結婚。20億円の家をポンと購入してもらった。なるほど確かに30代前後のお金持ちと結婚したい日本人女性の心を、これでもかと言わんばかりに鷲掴みする単語が盛りだくさん。

さて本当にこの話は実話なのか。疑問に思いながら読んでみたので、それぞれのあらすじと現地在住者として持った感想などを紹介していきます。

シンガポール大逆転 Vol.1 

あらすじ

読者モデルもしていた美人な主人公(春香)が婚活のために30歳手前で渡星。様々な金持ちエリートと身体を重ねる仲になる。しかし男性たちからお金目当てとバレていたため「遊び相手」としてしか相手にされず月日が経ち、そのカラクリに気づいた時には35歳になっていた。次は婚活のために香港に行く。

感想&その他

最もよくあるパターンだと思うし、実際にこういう類の人に会ったことある。でも、これ全く大逆転じゃないな。

シンガポール大逆転 Vol.2

あらすじ

常にBランクで生きてた一般的な女性である主人公(彩乃)。婚活のために渡星し、念願の外資系金融マンと結婚。「これでようやく私もAランクになれた」と満足する。しかし結婚後「シンガポール金融妻の会」にて、夫がフロントかバックかでランク付けされる現実を知る。だが「昔日本いた時の自分と比べたら、今の私はAランクに近いのよ。」 と自分に言い聞かせる。

感想&その他

シンガポールには「インド系の妻の会」はありますが、「シンガポール金融妻の会」は存在しません。それに近いものはあるかもしれないけど。

シンガポール大逆転 Vol.3

あらすじ

超一流と言うわけではないが18歳からモデルをしてきた主人公(美咲)。日本では経営者たちと付き合い贅沢が身体に染み付いてしまった。しかし30代手前で付き合っていた経営者に別れを告げられる。 絶望するが「シンガポールなら、私の価値はまだ高い。」 と考え渡星。セントーサ島のクルージングパーティーにて見事に台湾人の大富豪のご子息と結婚。婚活は大成功となる。

感想&その他

あまりにも話がうまく行きすぎな主人公の思惑通りのハッピーエンド。ありえない話ではないかもしれないけど流石に台湾人の大富豪が、30歳越えの一般人女性を選ぶだろうか。女性の方もよほど家柄がよかったのかな。

シンガポール大逆転 Vol.4

あらすじ

良い旦那を見つけるために中途採用でキャビン・アテンダントになった主人公(里子 )。28歳になると周りの半数は既に結婚。CAというブランド力も年齢とともに色褪せていく。そんな中、シンガポールに移住した元同僚のリア充アップデートをFBで見かける。同僚に負けてられないと渡星。現地ではCAのイメージが良いことに有頂天になる。沢山の男に声をかけられ仲良くなる。現地で仲良くなった男が、自分の同僚とデートしている野を見かけショックを受けるが、 CA神話を信じて疑わない。CAが時としてただの「遊び相手」となることも気づかずに。

感想&その他

これはオチが面白くて笑った。今ではジェットスターやエアアジアなどの格安航空もあるからCAと聞いても、激務&薄給で可愛そうというイメージしかない。シンガポール航空だったら少しはブランドになるかな。

シンガポール大逆転 Vol.5

あらすじ

田舎コンプレックスが強い主人公(英恵)。克服するため東京の有名女子大学に進学後商社に就職。2歳年上の総合職の男性と結婚。 半年後見事に夫のシンガポールへの転勤が決まり晴れて念願の駐妻になれた。しかし現地では「セレブ妻軍団」「キャリア軍団」「金融妻軍団」の何れにも属さない特殊な「駐妻軍団」である事に葛藤する。「セレブ軍団」にになりたい願望から、生活が派手になり周りから浮き、夫の稼ぎにも文句を言い夫婦喧嘩が絶えなくなる。

感想&その他

気になったのは「日本では憧れを持たれる立場の駐妻。しかしシンガポールでの立場は最下層といっても過言ではない」の部分。個人的に「駐妻は言語も不便で世界も狭そうで可愛そうだな」と思う事はあるけど、ほんと人にもよるし最下層ではないと思う。うまいことビジネス立ち上げて、DP(配偶者ビザ)で事業登録して、荒稼ぎして人生を謳歌しているような人も実際にいる。これを書いた筆者は女性で、シンガポール駐妻によほどコンプレックスがあるとみた。最下層は自分みたいな現地採用ワーカーです。

シンガポール大逆転 Vol.6

あらすじ

幼い頃からイギリスの学校で学んだエリートである主人公(リナ)。シンガポールにある父の会社の子会社に入る前に、他の会社も経験したく米系金融会社でセールスとして働いている。そんなリナだが毎日毎日、F1レーサー、米系大企業の社長、アラブ石油王の息子、年収1億円越えのオーストラリア人のスパイなどの男性陣からのオファーが絶えないという。最近のデートの相手であるマレーシア人の大富豪が、セント―サコ‐ブにある20億円の家を買ってくれたが「内装が気に入らない」と興味がない様子。そんなリナは日本では全くモテなかった。そんな彼女は「専業主婦になるため男性に媚びを売る日本人女子は自分を客観視できていない」と主張する。最近はイギリスの学校で一緒だったリチャードに惹かれている様子。やはり勝ち組の中には一般人が入る余地がない。

感想&その他

F1レーサー、米系大企業の社長、アラブ石油王の息子、年収1億円越えのオーストラリア人のスパイ、あとは20億円のセントーサコブの家。こういう内容には言及しないとして。大学卒業後(推定年齢で22~23歳?)に日本で1年働いて、シンガポールに1年間だけやってきたキャリアも育ちも最高級な女性。そんなエリート女性の年齢が、何で28歳なのだろか。どんだけ留年しとるねん。

東京カレンダーは読み物としては面白いけど・・・

それぞれの記事。つっこみどころが満載で読み物としては面白い。男の自分でもグングン読み進めていけたのだから、ターゲットとしてるアラサー女性なら尚更だろう。しかし、問題は「本当にこれらの物語は実話に基づいているのか」ということ。

というのは、仮に文章内に、記事の内容が明確にフィクションであると明記されてあれば良いけど、各々シリーズ冒頭にはこのようにあるのだ。

「東京市場での敗戦が濃厚となった30代女性が、一発逆転を目指し、海を渡り必死に出会いを探す実例に迫る。 」

これで、この話が実話でなかったらアクセス目的の単なるタチの悪いデマとなる。無駄にシンガポールのバブルイメージを助長するのは止してくれ。個人的にはそう言いたくなる。

東京カレンダーの物語の内容は実話なのか

東京カレンダー代表取締役の対談記事があった。「シンガポール大逆転シリーズ」が始まる前の内容だけど、その中に東京カレンダー内の内容が実話かどうか言及している部分があったので見ていきたい。

答えはノンフィクションに近いフィクション?

-リアルにこだわっているというお話がありましたが、「東京女子図鑑」などの連載モノは、小説、つまりフィクションですよね?

菅野:「東京女子図鑑」に代表される連載小説は、もちろん人物設定や多少の脚色はありますが、ノンフィクションに近いフィクションだと考えてください。

単なるデマの可能性が非常に高い

-ということは、あれは実話に基づいているのですか?!

菅野:これまで、東京を駆けずり回って「東京カレンダー」を作ってきましたが、その中で出会う人たちの個性的な生き方自体が、何よりも面白いコンテンツであると感じました。あの小説に出てくる主人公のように、”東京だからこそ巻き起こるさまざまな価値観に翻弄されながらもたくましく生きる方々”にたくさん出会ってきたんです。

もともと、「東京女子図鑑」は、連載形式で定期的にユーザーとコミュニケーションしたいとチャレンジしてきた中で生まれたコンテンツです。そのコンテンツの内容を考えた際、そういう”波乱万丈な人生”を謳歌している人たちにスポットを当てたいと考えました。

東京カレンダー 躍進の理由/代表取締役社長 菅野祐介氏インタビュー 

インタビュー記事の内容は、ここら辺でイライラして読むのを止めました。なんで「あれは実話にに基づいているのか」というイエスかノーで答えるべき質問に、ベラベラ訳の分からない返答をしているのか。「ノーと言いたいけど、言い訳したい」感情ひしひし伝わってくる。どうやら「シンガポール大逆転」シリーズは完璧なフィクション小説として楽しむのがよさそうだ。