将来的に新幹線の駅ができるらしいシンガポールの西側のJurong East。この駅の最寄りのショッピングモール「Jem」で晩御飯を食べることが多い。
一昨日も、Jemに立ち寄りディナーを終え、いつものように出口付近の喫煙所で、煙草を取り出すと、いきなりライターの火が目の前に飛び込んできた。
ライターを飛び込ませてきた張本人「ペイ」(名前は多少脚色してあります。)
Xin「お、ありがとう(ここはオーチャードタワーじゃないんですけど・・・)。」
ペイ「韓国人?」
Xin「日本人(怒)」
ペイ「コンニチワ。ねえねえ、この煙草凄く美味しいから試してみなよ(2本渡してくる)。」
Xin「いや、いいよ、煙草は高いし。気持ちだけもらっとくよ。ありがとう。」
ペイ「いいから試してみなって(しつこい)。」
Xin「わかった、わかった。じゃあ一本だけ・・・。ありがとう。」
ペイ「ねえねえ、コンタクトしてる?」
Xin「うん、してるよ。」
ペイ「コンタクト買わない?」
ペイは、そう言うと、7箱くらいのコンタクトレンズが入った、プラスチックケースを見せてきた。
Xin「度は入ってるの?」
ペイ「ううん、入ってない。」
Xin「じゃあ、いらない。度が入ってないと見えないから。」
怪しい、非常に怪しい。新手の詐欺か。こんな手口の詐欺は聞いた事がない。そして、露出も激しい・・・雰囲気はまるでオーチャードタワーのイパネマに営業に来ている女性のよう。
英語の訛りも、シンガポールとは違う。イパネマ女子が喋るものっぽい。シングリッシュネイティブではない事は明らかだ。
「ベトナム?インドネシア?はたまたミャンマーか?」聞いてみることにした。
Xin「どこ出身?」
ペイ「シンガポール。」
Xin「ほんとに?」
ペイ「ほんとだよ。」
いまいち信用できない。失礼極まりないけど・・・。少なくともベトナム、インドネシア、ミャンマーの何れか出身なら、中国語は理解できないはずだ。中華系でなければ・・・。
中国語でカマをかけてみることにした。
(以下中国語。)
Xin「ほんとうにシンガポール人なの?」
ペイ「ほんとうだよ。」
Xin「何で、そんなに沢山コンタクトレンズを持ってるの?」
ペイ「夫が沢山買ってくるから・・・。」
マッチ売りの少女じゃなくて・・・コンタクト売りの人妻か?
(以下英語。)
Xin「へぇ、そうんなんだ(シンガポール人ではないと疑ってごめんなさい)。Carousell(フリマアプリ)でコンタクト売ったらいいじゃん。」
ペイ「それ知ってる。でも、使いたくない。」
Xin「そう。そっか、じゃあ頑張りなよ。」
変わったシンガポール人がいたものだ。ただ、嘘はついてなさそうなこと。それだけは分かった。イパネマ営業なら「夫が」なんて言わないと思う。
煙草の吸い殻を捨てるため、灰皿の方向へ向かうと、ひょこひょこ着いてくるペイ。
Xin「・・・(汗)何?」
ペイ「ねえねえ、ここまでの行き方分かる?」
そう言いながらペイはスマホのSMSを見せてきた。SMSには「 Numerologyの講座に興味を持って頂きありがとうございます云々・・・場所:Devan Nair Institute。」と書かれていた。
Xin「聞いた事ないな、住所は?(Google Mapを開く)」
ペイ「80 Jurong East Street 21」
Xin「あっちの方向だよ。」
ペイ「こっち?」
Xin「そう、そっち。てか、本当にシンガポール人?スマホ持ってるんならGoogle Map使いなよ。」
ペイ「データは余り使いたくない。」
Xin「(プリペイドシムかよ、やっぱりシンガポール人とは思えない)」
ペイ「一緒に行こう。」
Xin「いやだ。何の会だよ?」
ペイ「Numerology。」
Numerology?・・・数の学問? グーグルしてみる。
ペイ「あ、分かった。日本人だから英語はわからないんだ。」
Xin「うるせー。こんな日常生活に縁のなさそうな単語知らんわ。」
数秘学、数秘術。どこかの新興宗教の講座か?怪しさ満点だ。
ペイ「場所まで着いてきてくれるだけでいいから・・・。」
Xin「・・・(汗)わかったよ。着いていくだけな(絶対ブログネタにしてやる)。」
思いの外近かったので、場所まで連れて行くことにした。ブログを書いてなければ、トンズラしていたと思う。
つづく。