バスに揺られ約7時間。今回の旅行のメインとも言えるダラットに到着した。
湿気が多く、じめじめした暑苦しい。シンガポールやホーチミンとは違い、風が透き通っているような感じで清々しい。まるで日本のどこかの片田舎にいるかのよう。
実はこのダラットについて旅に出発する前から「ここは、サッドシティと呼ばれていて、田舎なのでつまらないかもしれない」という事をトランから聞いていた。そして、1日目に会った大学生の少年(ヤン)からこの都市がサッドシティと呼ばれている所以について、事前に教えてもらっていた。
Xin「どうしてダラットはサッドシティと呼ばれているの?」
ヤン「寒いからだよ、寒いと気持ちが寂しなるでしょう。」
Xin「え?それだけ?それならロシアとか、日本の北海道とかの方が寂しいよ。」
ヤン「いや、でも寒い上に雨が降ったらもっと寒いでしょ。そしたらもっと寂しくなる。」
Xin「雪は降らないんだね。日本も寒い時期に雪が降ることもあるけど。ごめん、正直言い辛いけど、フランス植民地時代に何かの理由で残酷な大量虐殺があったとかそんな理由を期待してたよ」
ヤン「雪は降らない、だから濡れるからもっと寒くなる。だけど、ちょっと待って、サッドシティと呼ばれていることについて、ある話を聞いたことがあるんだ」
Xin「おっ。そういうのが聞きたかったんだ。興味あるある。教えて教えて。」
ヤン「うん。電話なんてなかった大昔の話。ある立派な家に結婚したてのカップルがいたんだ。でも彼らは別れてしまって、彼がこっそり家を出ていってしまった。その時すでに彼女の方は妊娠していて、お腹が少し膨らんでいたんだ。だけど、彼は戻っきてくれないし、電話なんてなかったからだれも呼べない。行けばわかると思うけど、ダラットの郊外は今でも家と家との距離が長くて、当時妊娠していてお腹も膨らんでいる彼女が歩いていける距離に家はなかった。つまり結局最後まで出産の介助の助けを呼ぶことができなかった。そしてそのまま彼女はお腹の中の子供ともに亡くなってしまった。そして時が過ぎ、ある家族がその立派な家に引っ越してきた。だけど毎晩毎晩、誰もいないはずの階段から足音や子守歌が聞こえてきて、その家族は気持ち悪くなって結局、、、、」
Xin「うんうん。結局?」
ヤン「別の場所へ引っ越してしまった。」
Xin「・・・・・」
Xin「それだけかいっ(# ゚Д゚) !結局その家族もその家で亡くなったのかと思ったわいっ!」
この世に生を受けて早30年近く。シンガポールにはベトナム人のルームメイトがいて、日常的に顔を合わせるしコミュニケーションもとるけど、ベトナム人にツッコミを入れたのは、この時が初めてでした。