「どうせ帰る前に飲みたいんでしょ?」
Miniature Parkよりバイクを走らすニーナが気の利いた質問をしてきた。本当に良くできたお供だ(笑)。感動しつつ「もちろん!」と返事して、こんなところに連れてきてもらった。
※Kampung Bule Batam:バタムでお洒落な飲み屋街が密集したエリア。
ニーナ「私はどこにも入ったことはないんだけど、好きな店を選んで!」
Xin「ビールが飲める場所だったら、どこでもいいんだけどね・・・」
パンチが効いた店に入った。
(女性バーテンダーとアンモー男性がインドネシア語で会話していた。)
Xin「帰る前だし、タイガー小瓶だけでいいや。ニーナは何を注文する?」
ニーナ「私はいらない。」
Xin「え、何で?お金は出すから心配いえらない。それとも店の雰囲気が気に入らない?」
ニーナ「いや、店が気に入らない訳じゃない。だって高いでしょ?Xinは飲んだらいいよ。でも私は注文しない。」
この店の価格帯、一杯の値段は概ねIDR18,000.0~ 60,000.0(100~600円)。タイガービール小瓶はIDR30,000.0。ビール一杯日本円にして約300円。この値段は自分はシンガポールで、いつも飲んでる缶ビールより安い。
Xin「確かにバタムの物価で考えると高いかもしれない。シンガポールで働いている自分にとっては高くないんだよね。」
ニーナ「・・・」
いろいろ話を聞いたところ「昨日から、何をするにしてもどこに行くにしても、ずっと払ってもらっているから申し訳ない」とニーナは感じていたそうだ。
全くそんな事はないのに。むしろ・・今回の旅行で、もしニーナがいなくて、全てタクシーを使っていたと考えると、そっちの方が出費がかさんでいただろう。
ニーナはソフトドリンクは飲まない。ビールを注文するついでに無理矢理ミネラルウォーターも注文した。
Xin「じゃあ、もし申し訳ないと思うなら、大学卒業した後、シンガポールで働いてお金を返して。」
そう言ってミネラルウォーターを渡した。ニーナの曇った顔が明るくなった。ニーナの親は、なけなしのお金を掛けて大学に通わせているんだと思う。
英語もできる訳だしニーナのような人には這い上がってもらいたい(元々「日本」という恵まれた環境に生まれた自分が偉そうに言える事ではないけど・・・)。
一杯だけ飲んで、そのままこの店を出る。その時に嫌な出来事が起こった。
アンモー(欧米人)「 ¶!§〆-∉∃※」
Xin&ニーナ「!?・・・・」
ニーナ「さっき、なんて言ってたの?」
Xin「分からない。聞き取れなかった。嫌味の類じゃないかな?」
ニーナ「なにそれ、むかつく(怒)」
店の中には数名のアンモーの客がいた。誰が言ってきたのか分からない上に何を言っているのか分からなかった。英語だと思うけどスラングの類だろう。店に戻って誰が言ったのか確認しようと思ったけど、アホらしいのでやめた。
ニーナ「もぉ、本当に腹が立つ。きっと人種差別の類に違いない。」
Xin「ほっときなって。バタムのこんな店に、こんな時間から入り浸っているアンモーなんて、ロクな奴じゃないよ。相手にするだけ時間の無駄。」
気を取り直して今回の旅行の最後の場所「City Walk」へ向かった。
(https://www.batamciti.com/place/47/Batam/batam-mall-department-store-nagoya-city-walk.htmlより拝借しています)
大きな家族向けのショッピングモール。子供が喜びそうなアトラクションが盛りだくさんあった。
ニーナ「甘いもの食べられる?」
Xin「甘い物好き(笑)」
ニーナ「じゃあドーナツ食べよう!」
City WalkのJ.CO(ドーナツ屋さん)。
今回はお金は払わせてもらえなかった。今までお金を出したお礼としてニーナの方が奢ってくれた。J.COのドーナツのクオリティは低い。だけど今回奢ってもらったドーナツは自分で買って食べる日本のミスドより何倍も美味しかった。
食後はまっすぐフェリーターミナルへ。
ニーナ「フェリーが来るまで一緒に待った方がいい?それとも一人で待ちたい?」
Xin「一人の方がいい。昨日から色々案内したから疲れたと思うからゆっくり休んで。本当に感謝してる。ありがとう!」
ニーナにお礼を言って別れた。
今回のバタム旅行では物価の落差を痛いほど見せつけられた。同時に今までに会ったアジア諸国の学生を思い出させられた。
ベトナムで会った苦学生のヤン。台湾在住の中華系マレーシア人のジョン。そして、今回会ったバタムのニーナ。もちろん、この世の中には彼らより貧しい人々が沢山いる。だけど、せめて自分が関わった人にはある程度経済的にゆとりのある生活を手にして欲しい。彼らが経済的ゆとりを手にする為には一体何をすれば良いのか。シンガポールにバタム出身でシンガポール人と同じように生活している友人は何人かいる。今度彼らに会った時に聞いてみよう。
帰りのフェリーの中で、こんな事ばかり考えていた。
バタム旅行記。おしまい。