結構な頻度で見かける募金活動をしているシンガポールの学生達。よく、自分はそんな学生達を素通りしてしまいます。
稀に募金することはあるけど、シンガポールに来てからボランティアらしいボランティアをしたことがなかった。
という訳で思い立って先日、あるボランティアに参加してきました。
(ボランティアが行われた場所)
ボランティアの内容と経緯
内容は「フードディストリビューション」。つまり、食料を配るボランティア。対象はシンガポールに住んでいる身寄りのない年配の方々。
ミートアップのアプリで「参加ボタン」を押したあと、オーガナイザーから参加意思と電話番号を聞かれ、Whatsappのチャットグループに投げられました。
4,500円(SGD50.00)を負担してボランティアに臨むシンガポール人たち
基本的に食料の負担は「Lotus Lights Charity Society」という団体が行っているそう。
しかし「自分たちでもなにか買ってあげよう」ということでメンバーの一人が「オートミールとシリアル(コーンフレークの類)を配りたい」と声をあげました。
費用は計SGD380.00。「誰か一部負担できないか?」とのこと。
次々と名乗り出るシンガポール人たち。
負担金額はSGD50.00(約4500円)。これはシンガポールでの一月の電話料金に相当します。
結局四名のメンバーが名乗り出ました。
「みんなすごくボランティア精神が旺盛だ(・・・と思ったのは自分だけでしょうか?)」
流されやすい典型的な日本人である自分も負けじと名乗り出たのでした。
ボランティア現地までの道のり
場所は「Blk 93 Henderson Road」。集合場所である最寄駅は「Red Hill」という駅。
当日は、オーガナイザーともう一人の参加者と合流。他のメンバーは現地集合予定。
オーガナイザーによれば、この地域は年配の方々が沢山住んでいるのだとか。わりと長くシンガポールいるのに、今まで全然知らなかった(汗)
「REDHILL MALL」。ここにはシンガポールというか、タイやベトナムを彷彿とさせるマーケットが沢山あります。この付近のホーカー(屋台)も、美味しいと有名らしい。
ここで事務手続きを終えていざボランティア現地へ。
ボランティア現地到着
「BLK93」このブロックでは、シンガポールでは珍しい、一人世帯のためのワンルームのユニットで構成されています。
家賃の半額は政府が負担してくれるのだとか。資本主義を絵にしたようなイメージのあるシンガポールだけど、弱者のための措置だってそれなりに行っているとうことか?
ボランティア員だとわかるように開始前に渡されました。
時間になるとトラックがやってきて、荷物をボイドデッキに運びます。
水、パン、お米、缶詰、オイル、卵、トイレットペーパーなどなど。物によってはかなり重いものもあって、良い運動になりました。
※ボイドデッキ:アパートの一階を占める共用スペース
ディストリビューション開始
シンガポール人は家族間の繋がりを大切にする中華系が約過半数。おじいちゃんもおばちゃんも孫と一緒に暮らす大家族世帯がほとんど。
「中華系で身寄りのないご老人なんてほとんど居ないだろう。きっと身寄りのないご老人はマレー系、インド系の方々が大半に違いない」
などと勝手な偏見をもっていた自分の予測は大きく外れました。
全体で約70%を占める中華系の割合は、ここでは約60%と若干少なく感じたものの、ほとんどが中華系。
自分は缶詰とオイルのディストリビューション担当だったのですが、「謝謝(xie xie=ありがとう)」とお礼を言ってくる人が大半。
いや、物を貰って何も言わずに通り過ぎる人が四割、中国語でお礼を言ってくる人が四割、英語でお礼を言ってくる人が二割ぐらいでした。
言わないといけないのか分からないけど、自分はひたすら「不客气(bu ke qi=どういたしまして)」と連発してました。
「二人いるから二人分」「こっちの袋に入れて」などなど年配の方が話しかけてくる言語もほとんどが中国語。ここでは英語より、中国語の方が使用頻度が高かったです。
ディストリビューション第二弾開始
ボイドデッキでのディストリビューションが終わると、今度は身動きのできない方々、食料を取りに来るのを忘れた方々へのディストリビューションの開始です。
一人分のセットにまとめて、ユニット番号の書いた札を持って、デリバリーに向かいます。
通路は少し薄暗く、じめっとしている雰囲気でしたが、それぞれのユニット内は、綺麗に片付いているイメージでした。
ボイドデッキにとりに来た方々とは違い、デリバリーに向かったユニットの方々は必ず、「ありがとう」と感謝の言葉を投げかけてくれます。
ありきたりな感想だけど、その心のこもった感謝の言葉に、疲れも吹っ飛ぶ感じ。それぞれのユニットに食料を届けている時が一番充実感がありました。
以上でボランティアは終了。帰りはメンバーたちと、美味しいらしい「REDHILL MALL」のホーカーで、昼食を頂きました。
(ホーカーの様子)
(大好物のフライドオイスター)
まとめ
実は当初は炊き出しのようなボランティアをイメージしていたため、「ダンボールから缶詰やオイルを取り出して、やってきた方々の袋に放り込む」という現実には少し残念でしたが、結果的には、想像以上に充実感がありました。
団体が用意した食料を配るだけでも、それなりに充実感が得られたかもしれないけど、「配っている食料の費用の一部は自分が負担している」という意識が、より大きい充実感をもたらしてくれた気がします。
「所詮ボランティアなんてただの自己満足かもしれない」
だけど、最近運動を始めたものの、「運動って自分の身体を動かしとるだけやんけ」と悶々していてなかなか続かない自分にとって、重い荷物を運んだり、マンション内を駆け回ったりしながら、充実感が得られた今回ボランティアは、実に有意義なものでした。