「スラムに連れて行ってほしい!」
カフェでの会話を終え、ひたすら目の前でバイクで走り去るのに見飽きた自分はトランにそうお願いしていた。ダラットには完璧なスラムはないものの、それに近いような地域を見たことがあるらしい。
少し郊外に行くことになるので適当な店で腹ごしらえをして出発することにした。
近くの店でマスクを購入して、いざ出発。
進めば進むほど道の凸凹が酷くなり運転がし辛くなる。にも関わらず風景は、特に変化がなくつまらない。しかし気づいたことがあった。ベトナムでは、タイやインドネシアに比べストリートチルドレンの数が明らかに少ない。
親に捨てられたり、貧しく家のない子ども達は、こののような保護施設や孤児院に入れられて、職業訓練を受けて社会に出るのだそう。
ベトナムでは経済的に貧しい子ども達のために、既にセーフティネットが張られているのだ。
1年ほど前、今回のようにカウチサーフィンを利用して、インドネシアのジャカルタを旅行したことがる。その際に、案内してくれたインドネシア人に、こんな質問をしてみた。
「ジャカルタの税率はいくらぐらいなのか?」
「ホームレスに対するセーフティーネットはあるのか?」
答えはそれぞれ、こんな感じだった。
「消費税は10%。その他所得税なども似たような税率。」
「政府がしっかりしないといけないこと。」
しかし、近いうちに国民から期待されている政治家がジャカルタ州知事に就任するので、みんな彼に期待しているのだそうだ。
こういった弱者救済に関する対応については、ベトナムはタイやインドネシアの遥かに上をいっているのかもしれない。自分の中でベトナムのイメージががらりと変わった出来事だった。