どうも、久しぶりのブログ更新になります、Xin(しん)です。
自分が働いているのは、グローバル外資系企業。職場には日本人はいません。基本的に、職場⇔自宅の行き来だけなので、日本人に会うことは少ないです。
プライベートで付き合う友達も日本人も限られてます。シンガポール国内でも、旅行に行く時も日本人がいるとこは避けます。
海外や外国人マンセーと言いたい訳ではない。得体の知れないどす黒い違和感。そのせいで、定期的に日本人集団と会いコミュニケーションをとることに、著しく苦痛を感じるのだ。
「対日本人団体恐怖症の疑い」という病名は伊達じゃない。なぜ自分はそんな風になってしまったのか。
昨年度の夏にラオス旅行に行った。そこである日系レストランで食べて、その原因が少し分かった気がしたので、そのエピソードを紹介したい。
飯を求める日本人
それはラオス旅行の2日目だった。
首都であるビエンチャンは想像以上に何もない。絶望しながら、夜中にとぼとぼ歩いていた時のこと。
シンガポールでよくお世話になる所と似たような名前の中華系レストラン。
お腹が空いたけど、わざわざラオスまで来て中華料理もないやろ。素通りして暫く歩くと日系レストランが見えてきた。
ITALIAN TOMATO(イタリアントマト)
ラオスの日本食の相場はいくらなのか。メニューの立ち位置がこれでもかと言わんばかりに存在感を誇張していたので覗いてみた。
そうすると、しめしめと言わんばかりに店の中から若い女性が出てきて、日本語で話しけてきた。
女性「いらっしゃいませ。日本食はいかがですか?」
しん「は?」
ラオスの首都ビエンチャンは、タイからも近く外国人が多い。しかし外国語はというと、ローカルは英語でのコミュニケーションも難しい事が多い。ラオス語がタイ語と似ている。英語とは性質が随分と違うのが理由かもしれない。
英語でさえままならないのに、この辺りで日本語しゃべるの人間なんて、ごく限られた日本人駐在員しかおらんやろ。
そう思っていたので、いきなり流暢すぎる日本語で話しかけられて驚いた。
女性の名前は「ラー」という。厳密には「ゥラァ」みたいな下を巻いたとうな音だったけど、カタカナの「ラー」ということにしておく。彼女はカレッジの学生らしい。ラオス人は小柄な若々しい人が多くて中学生くらいに見える。
※ラー:ちゃん付けした方がイメージに合うのだろうけど、じじいの自分が「ちゃん」付けすると気持ち悪いので、以降は「ラー小姐(シャオジエ)」或いは「小姐(シャオジエ)」と表記
日本語はアニメで覚えたらしい。日本語能力検定1級プラスのレベルだと思うが、英語の方が得意らしい。
いかにもブービートラップに引っ掛かってしまった日本人みたいなようで気に食わなかったけど、ビールと軽食でもOKとの事だったので彼女の必死の説得により入店することに。
夕食時とはいえ平日だったので、自分いがいは客は誰もいなかった。小姐の他に男の子の店員も一人、若い学生ぽい風貌。
彼は何とか英語でコミュニケーションが取れるレベルで日本語の嗜みはないようだった。
相場は一食60,000〜100,000キープ(600円〜1,000円)くらい。シンガポールの感覚では安いけど、たぶんラオスでは高級の部類。
とりあえずラオビールを注文。軽食はあとで決めることにした。
そして何を食べるか、悩んでいる最中。
ラー「・・・」
無理 (*´Д`)…落ち着かない。
誰もいない店内。常に遠くの方で自分を見張る影、ラー小姐。
シンガポールでお世話になる飲食店では、どこでも店員が客に目配りなんかしない。飯が食いたければ、客から強引に店員に話しかけるのがデフォルトだ。
たとえ店が忙しくなくても、客から話しかけられない限り、店員は自分の時間を有効に使える。スマートフォンなり、同僚との雑談なり、好きなことができるのだ。合理的なシンガポールらしいシステム。
しかし、このラオスにある日系イタリアンレストラン。ここでは、両手を前に丁寧に添えて直立姿勢でじっと唯一の客である自分、を監視するように見張っているラオス人、ラー小姐がいる。
こやつは少し目で合図するだけで、目の前にやってくるに違いない。案の定、無言の合図をしただけで彼女がやってきた。さてオーダーを取るのだと、目の前にやってくる小姐。
しん「あの、落ち着かないので、そこのカウンターの影に隠れて、スマホいじるなり、同僚とお喋りするなり、好きな事しといてくれませんか?」
ラー「ええ・・・そんな事したら、オーナーに怒られてしまいます(汗)」
オーナーの躾…
お客様がいる時は、必ずアイコンタクトを見逃さないようにホール内で立っておけ。全身全霊お客様に奉仕するのだ。お客様は神様だから。
これは、高校生の時にレストランのホールで自分が躾けられていた内容。ちなみに当時の時給は780円。今なら天変地異が起きても、この時給でこんな仕事はしないだろう。
逆に面倒くさい客である事は承知だが、お願いすると小姐はカウンターに消えた。
しかし、カウンターの影で兵隊のように直立姿勢で待機してるに違いない。くそう、ジャパニーズに飼い慣らされた女兵士め。
そして、自分の力で小姐を呼び出してカレーを注文した。普通のジャパニーズカレーである。 味は美味しいが、普通だった。
この店が、日本からのアクセスがしやすく、日本人が6万人くらい滞在しているタイの首都バンコクにあるなら分かる。日本人だけをターゲットにして、ある程度の利益を出せるかもしれないから。
しかし、日本からの直行便がない、手間かけていかないといけない途上国ラオス。その首都ビエンチャン。ラオスの在留邦人自体が1000人以内らしいのに、その中にビエンチャン在住者は何人いるのだろうか。オマケに日本人は自炊を好む民族。
なのに、まさか基本的に日本語も伝わらないこの国で、ここまでジャパニーズ用にカスタマイズされた店があろうとは。潰れんじゃないのか?
得体の知れないどす黒い違和感の正体
ホステルへの帰り道。ラオスでの日系レストランの接客なんて適当にやらせろや、と思うと同時に改めて考えてみた。
外国人と比較的して日本人は、どのような性格をしているのか。
それは、日本語の助詞「は」と「が」の違いが、”「は」は「は」の直後が主題で「が」は「が」の直前が主題である”
という法則で説明できるのと同様に、非常にシンプルな法則で説明できると思う。
「日本人は完璧主義である」
それ以上でも、それ以下でもないと思う。たとえば・・・・
- 日本人は完璧主義だから、飲食店で客の目の合図さえ見逃さないようにするし、そうしないとマネージャーに怒られる
- 日本人は完璧主義だから、デッドラインがある仕事は納期を守らないとクライアントがキレる
- 日本人は完璧主義だから、みんな大学を卒業して、大企業に勤めて、結婚して子供を創って育てようとする
- 日本人は完璧主義だから、みんな自分たちと同じでないといけないと思い、異質なものを排除し、イジメたりする
- 日本人は完璧主義だから、経済的に安定していて余裕がないと結婚しようとしない
- 日本人は完璧主義だから、英語=完璧なアメリカ英語じゃないとダメと思いこんで、それができないと使おうとしない
- 日本人は完璧主義だから、安い飲食店やコンビニの飯が美味すぎる
- 日本人は完璧主義だから、比較的アクセスのあるオンライン記事の情報の信頼性があまりないと、それをブコメやツイッターで指摘する層が多い
- 日本人は完璧主義だから、海外に行って自国よりも低いレベルのサービスを受けると不満に思う
- 日本人は完璧主義だから、仕事で失敗すると自分のせいにしようとしてストレスをためる
- 日本人は完璧主義だから、働き盛りの年齢の男性はフルタイムの仕事をしてないと白い目で見られる
- 日本人は完璧主義だから、仕事にやりがいや意味を見出そうとする
- 日本人は完璧主義だから、溜まったストレスはオフライン世界では解消しようとせず、その分オンラインで過激に解消しようとする
- 日本人は完璧主義だから、子育てや家事も完璧にこなそうとしてストレスをためる
などなど、例を挙げればキリがない。完璧主義は一見すごく良いことのように思えるけど、 日本においては極端すぎる気がする。
だけど、そんな日本においても完璧ではない事。且つ自分が完璧すべきだと思う項目が三つだけある。それは以下だ。
- 大きな問題が起きた時の責任の所在
- 国としての税金の使われ方
- 公の組織で最も偉い人の責任
日本人は、それほど完璧にこなさなくていい事に対して完璧主義を貫こうとする。その一方で、完璧にこなさないといけない事に対しては、有耶無耶で曖昧だ。そんな気がする。
随分と脱線してしまったけど、自分がシンガポールで日本人と関わりが億劫になっている原因である、得体の知れないどす黒い違和感とは、何に関しても完璧主義すぎる日本人の気質と関わりがあるような気がした。
自分が個人的にそれほど完璧にする必要性が見出せないことに対して、完璧を求めようとする。それに同調しないと変な目で見られる。その空気が重く辛い。
たとえば、自分の職場は服装に規定がない。女性も男性もみんな服装は自由。自分はラフな格好で通勤するし、スリッパ通勤することも少なくない。
しかし、ある日仕事が終わったあと、偶然あるイベントがあり、そこでシンガポール在住日本人主婦に会った。彼女は自分の服装を見て「え…シンガポールで仕事してるんですか?」と白い目で聞いてきた。
完璧主義な日本人は、海外の日本人のいない非日系企業で好き勝手働くのが日常となっている自分に、完璧に奴らと同じになるように求めてくる。そんなオーラを感じる。
だから、自分は「対日本人団体恐怖症の疑い」なのかもしれない、そう思った。
【PR】ラオスのイタリアントマトは健在
ITALIAN TOMATO at ラオスにお世話になったのは昨年度の8月です。経営は大丈夫か、と思ったのですが、ネットで調べたところ、まだ健在なようです(安い時給で現地人に自国の完璧主義を押し付けてるのか?)。
「イタトマブランド」なるブランドをつくり日本全国津々浦々に店舗を構えてます。海外は、ラオス意外にも、香港、台湾、中国に支店を構えているよう。
ラー小姐は現在も勤務しているのか知りませんが、ラオスのビエンチャンに立ち寄った際は、ぜひ寄ってみてください。尚「シンログを見てきた」と言っても何も出ません。以上。